アーユルヴェーダ塾ジュニャーナ塾長日記

アーユルヴェーダについて学ぶアーユルヴェーダ塾ジュニャーナを主催している「塾長」が古典書にもとづいたアーユルヴェーダのお話を日々綴っています。

アーユルヴェーダの食事 ~ ヨーグルトは食べたらダメなのか?~

こんにちは。アーユルヴェーダ塾 ジュニャーナの塾長です。

 

アーユルヴェーダの食事について現代の本を読んでいるとアレコレ食べてはいけないものが出てくる。例えば「ヨーグルトを食べてはいけない」と書いてある本がある。「現代的にはヨーグルトは腸内環境を整えるし体に良いといわれているのになぜ?」と質問される。

 

前にも書いたけど、現代のアーユルヴェーダの本はサンスクリット語で書かれたチャラカサンヒターを英訳して日本語訳にしたものが多く、チャラカサンヒターは訳し方が難しかったり、深い意味は師匠が口で伝えるし、意味がよくわからないまま訳すと訳の間違えがおこる。正直言って、英訳は本当にひどい。かなり適当な訳で、それが日本語訳されているからもっとひどいことになっているのが現状。。

 

アーユルヴェーダの元祖教科書のチャラカサンヒターには「ヨーグルトを食べてはいけない」なんてどこにも書いてない。ただ「よく固まっていないヨーグルトは避けたほうが良い(要するに発酵途中のヨーグルト)」とか「乳製品は重性があるので消化に時間がかかるから適量にしておきなさい」とは書いてある。けど、軽性なものだけでも消化にはよくなく重性のものも必要だからバランスよくなんでも「適量」を食べなさいね、と言っているんだけど、そういう大切なことは省かれて「乳製品はダメ」と訳され「ヨーグルトがダメ」に変化してしまっている。

その他にも「腐ったモノを食べてはいけない」ともある。腐ったモノ=(イコール)発酵食品と捉えている人もいる。これもよく質問されるんだけど「ヨーグルトもそうだし、納豆、味噌、醤油、漬物はアーユルヴェーダ的にダメなんですか?」と聞かれる。今、流行っている「甘酒」も発酵食品だし「お酢」「魚醤」「鰹節」「お酒」も発酵食品になる。日本には発酵食品が多い。「発酵食品がダメ」も訳の間違えが重なって間違ったまま広まってしまっている。

よ~~く考えてね。アーユルヴェーダはインドが発祥。インドの気候を想像して欲しい。インドは日本に比べて「暑い国」だよね。暑ければ食べ物は腐りやすい。しかも、発酵食品なんて暑すぎると異常発酵してよからぬ菌が発生して腐ってしまう。インドのような暑い国は発酵食品を作るのには向いていない。

しかも、腐った食べ物を食べると「食中毒」を起こすよね。「食中毒」って最悪死んでしまう。感染もするし、現代の日本にいるとあまり実感が湧かないけど「食中毒」って実はすごい怖いもの。アーユルヴェーダができた時代で考えると抗生物質があるわけでもないし「食中毒」で一族もしくは村が滅びる可能性だってある。単一民族で島国ニッポンで平和に育った私たちには理解しがたいけど、インドはいろんな民族が住む国だし、他の国から侵略される可能性もある。だから、食中毒や感染症のような病気が発生して人口が減ると、違う民族が攻めてきたり、違う国から侵略されて土地を乗っ取られる可能性だってあるわけだ。だから「腐ったモノを食べてはいけない」とか「よく発酵してないものは食べないほうがよい」とわざわざ書いてあるわけ。

それから、よくいわれるのが「発酵食品」は「タマス(惰性)」の性質をもつから、無知や怠惰になる」とか「プラーナ(正気)を奪うから食べてはいけない」と言われている。これも、民族や国を滅ぼすかもしれない怖い「食中毒」を防ぐために、ただ「あれはダメ、これはダメ」と言うのでは人間はいうことをきかないので、みんなが食べないようなもっともらしい理由をつけて言っているのだ。

ちなみに、インドだって発酵食品はある。カレーにつけるナンだって、紅茶だって発酵食品よ。

発酵食品は日本のように暑すぎず寒すぎない土地が作るのに向いている。だから、日本には発酵食品が多いし、土地が狭くあまり食料が取れないというのもあるし、冬が長いので発酵食品は保存食の役目もある。日本人は長い年月を発酵食品をよく食べて、命を繋いできた民族なわけだ。

アーユルヴェーダでは「食べ慣れているものを食べなさい」「その土地にあったモノを食べなさい」と言っている。実はこれがアーユルヴェーダの食事で大切なことの一つでもある。日本には日本人にあった食べ物があり、インドにはインド人にあった食べ物がある。その考えでいくと「ヨーグルト」は元を正せば日本の食物ではないので日本人には向いていないのかもしれない。けど、最近の日本人は子供の頃から食べている人も多いので食べ慣れたものになるのかもしれない。

アーユルヴェーダを実践するときの注意として「全てを鵜呑みにしないこと」がある。「なぜ、これがダメと言われているのか?」「なぜ、これが良いとされているのか?」というのを考えることが大切。日本とインドにはいろいろな違いがある。風土、気候、習慣、歴史、文化と違うところがたくさんある。そして科学が発達してアーユルヴェーダができた時代よりいろいろなことが解明されている。そして、自分が食べてきたモノ、自分が住む土地や気候にあった食べ物は何かというのもふまえて、「何が日本人の自分に向いているか」を考えて取り入れなければ意味がない。これはアーユルヴェーダだけに限らない。ハリウッドセレブが実践している健康法だからと言って日本人に合うとは限らない。

いい事も悪いこともなんでもかんでも素直に信じてしまうのが日本人のいいところでもあるのだけど、正しい事を見極める目を養うことも必要である。

 

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