アーユルヴェーダ塾ジュニャーナ塾長日記

アーユルヴェーダについて学ぶアーユルヴェーダ塾ジュニャーナを主催している「塾長」が古典書にもとづいたアーユルヴェーダのお話を日々綴っています。

インド映画とインド哲学 その2

こんにちは。アーユルヴェーダ塾ジュニャーナの塾長です。

 

今回のおススメは「バジュランギおじさんと、小さな迷子」

ざっくりあらすじ(詳しいあらすじは、公式ホームページへ)

bajrangi.jp

 

パキスタン人でイスラム教徒の口がきけないシャヒーダーが、母親とはぐれてインドに迷い込んでしまう。

インド人でヒンドゥー教徒ハヌマーン神の熱狂的信者のパワン(あだ名がバジュランギ)が、迷子の彼女を助け、彼女の親が住むパキスタンへインドから連れて帰ってあげるお話。

その間にすったもんだありで、ストーリーは非常に単純明快。

 インド映画お決まりの突然の「歌う、踊る」もあるけれど、インドのことが色々わかる映画。

宗教からインドのしきたり、インドのパキスタンの問題などか詰まっている。

そして、国家同士の対立、宗教対立はやめて仲良くしていこうぜっ!と政治的メッセージもある。

インド映画なのに、インド寄りでもパキスタン寄りでもなく、ヒンドゥー寄りでもイスラム寄りでもない。

どちらの良いところも悪いところも同じように描いている所に共感がもてる。

おっさんと子供のロードムービーな割にいろんなことが凝縮された映画でおもしろかった。

 

観に行ってみたいな、と思った方は、この映画を楽しむには、インドの神話ラーマーヤナ、そして、神様のハヌマーンのことやインドとパキスタンの関係を知っていないとよくわからない。

予習して行くのがおススメ。

 

色々書きたいことはあるのだけど、今回はハヌマーンアーユルヴェーダについて。

バジュランギおじさんが信仰している神「ハヌマーン」とはラーマーヤナに出てくるのがお猿さんの戦士。

体の大きさを変えたり、空を飛ぶことができたり、山をひっこい抜いて運んでくるぐらいめっちゃマッチョで強いお猿の神様。

ハヌマーンを意識してか主人公のバジュランギおじさんもなかなかのマッチョでイケメン。

マッチョ好きな方は必見!

そして、ハヌマーンはラーマ王子(ヴィシュヌ神の化身)のことをめっちゃリスペクトしていて忠誠心もバリバリ。

そのため、バジュランギおじさんはお猿さんに出くわすと手を合わせるし、ハヌマーンが超リスペクトしているのがラーマ王子なので「ラーマ万歳」という言葉を何度もいう。

ちなみに、この「ラーマ万歳」という言葉が最後の最後で心に突き刺さるワードになる。

インドの神聖な動物と言えば牛だけど、お猿さんも神聖な動物。

インドに行った時にお猿さんにオヤツを奪われても決して怒ってはいけない。

お猿様にありがたく差し出そう。

 ラーマーヤナを知らないとなんでバジュランギおじさんがお猿さんを敬うのか「ラーマ万歳」というのかわからない。

そんなわけで、ラーマーヤナのあらすじぐらいは知っていた方がおもしろい。

ラーマーヤナのあらすじはウィキペディアをみればざっくりわかるのでご自身で調べてみて。

あと、ラーマーヤナを知らないと気にならないことが、チョコチョコとラーマーヤナに関係する登場人物とかアイテムがでてきたりする。

インド神話を知っているとインド映画をよりおもしろくみることができる。

そして、インド神話がインド人の日常の中にあることがよくわかる。

ヒンドゥー教を宗教と思っている方々は多いと思うが、ヒンドゥー教は宗教でもあるがヒンドゥー教徒の日常生活、考え方、生き方そのものである。

 

それから、ヒンドゥー教の教えの一つに「嘘をついちゃダメ」というのがある。

そのため、熱心なヒンドゥー教徒のバジュランギおじさんは、なんでも正直に言ってしまう。

子供も呆れるバカ正直者。

事情があってパキスタン密入国しようとするのだけど国境警備隊につかまったり、パキスタン警察にスパイとして追いかけられるんだけど、嘘をついちゃえば誤魔化せそうなのをバカ正直に言っちゃうから、話がややこしいことになったりする。

見ている方が「そこは、嘘ついちゃいなよー」って突っ込みたくなるぐらい。

でも、嘘をつくと「天罰?」的なことがおきたりして「やっぱり嘘はいかんのか?」なんて考えさせられる。

でも、「バガヴァッドギータ」を引用して、正しいことをしてるなら、まぁ嘘も必要なんて感じのことを言われたり。。

どっちやねん、と考えさせられる。

嘘については、アーユルヴェーダの「チャラカ・サンヒター」でも嘘には言及されている。

嘘は基本ついてはいけないのだけど、心がサットヴァ(純質)であり、人のためになる嘘ならそれは罪にならない。

例えば、薬を飲むのを嫌がっている患者に、その薬を飲むことしか治療法がないのであれば「これは薬じゃなくてお菓子だよ」って嘘を言って飲ませることは罪とは言えないってことも言っている。

バカ正直は間違ってはいないけど、人として正しい心をもっていて、人を傷つけたり、陥れたりする嘘ではなくて、相手を救う嘘はアリなのだ。

悪い嘘は絶対にダメだけど、私たちもどうしても相手のことを想うと嘘をつかないといけない時もある。

そんな時は、罪悪感を感じる必要はないのだ。

インドの聖典は出家などしてない一般人が実社会で生きるためのあり方や救いを教えてくれる。

ちなみに、この映画にアーユルヴェーダのことは全然でてこない。

バジュランギおじさんは厳格なヴェジタリアンでイスラム教徒がチキンを食べるのを苦々しくみているけど、アーユルヴェーダは肉食は禁止していないのであまり関係ない。

一応、アーユルヴェーダのブログなので、無理矢理アーユルヴェーダと結びつけるとすると、ハヌマーンは風の神ヴァーユの子供である。

空(アーカーシャ)と風(ヴァーユ)がくっつたのがヴァータだ。

ハヌマーンは風の神の子なので、風のように空を飛んであっちこっちに行ったり、時には暴れる。

ヴァータが悪化すると心があっちこっちに行ったり、体に大きなダメージを与えるのは風の影響なのだ。

それから、ラーマーヤナの中でハヌマーンの尻尾に敵が火のついた布を巻きつけてハヌマーンを殺そうとするのだけど、ハヌマーンが暴れて都が大火事になるという話がある。

火はピッタである。

ヴァータが暴れるとピッタが燃え上がる。

風は火を煽る。

炎症はピッタの悪化の典型的な症状であるが、ヴァータの悪化でピッタが悪化することがある。

ハヌマーンが暴れるのをやめさせないと都の火事は鎮火しないのと同じように、ヴァータを鎮静化させないと炎症はおさまらず、ほっておけば身体を中を焼き尽くしてしまう。

つまり、死だ。

炎症=(イコール)ピッタの悪化、と思っていたら大間違い。

炎症=ピッタの悪化だと思って、ピッタを鎮静化することをするとヴァータが悪化して、さらに炎症がひどくなり逆効果になる場合もある。

実は、こんな風にインド神話からアーユルヴェーダを知ることもできる。

インド神話ヒンドゥー教アーユルヴェーダも「ヴェーダ」という最高の叡智から生れているの。

アーユルヴェーダという医学を知るのに神話なんていらない、と思う方もいるかもしれれないが、全てつながっている。

この世に無駄なことはなにもない。

アーユルヴェーダをもっと知りたい、と思ったら是非、神話にも興味をもっていいただきたい。

 

 

f:id:ayurvedacramshooljunana:20190126170107j:plain

ハヌマーン